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2008-07-09 [長年日記]

_ カッパドキア

午前8時、バスはカッパドキアへ到着した。

カッパドキアはいくつかのエリアで構成され、大きくはギョレメとウルギュプなのだが、

まずバスはギョレメのバス停で止まり、次にウルギュプに移動して僕らは下ろされた。

地元のツアー会社のスタッフが他の人たちを回収してホテルに送る中、何故か僕のツアー会社

だけは来なくて、猛烈な炎天下の中途方にくれた。

おーい、どうなってんの?

ふと見てみると途方に暮れてるのがもう一人。

大きなバックパックを背負った日本人のお姉さんで、「どうしたんでしょうね?」と話した。

福岡から来たYさんという人で、某アニメキャラに名前がよく似てた。

バス停のスタッフに聞いてみたら問い合わせてくれて、しばらく経ったら「ごめんごめんー」

みたいな感じで迎えがやってきた。

わざわざウルギュプまで来たのにホテルはギョレメにあり、意味がわからん。

車の窓から見るカッパドキアは異様な風景で、何をどう間違ったらそうなるの的な不思議な

形をした岩が一面に広がっていた。

すごい。

ホテルはそんな岩をくりぬいて部屋を作った洞窟ホテルで、地元のトルコ人のお兄ちゃんや

多分旅行中に居着いたっぽい台湾人のお姉ちゃんが働いていた。

Yさんも同じホテルだったんでちょいと話す。

そろそろツアーの時間なので出かけようとしたら、よく日焼けした日本人のお姉ちゃんに

声をかけられた。

「日本人ですよね?

イスタンブールから来たんですか?

私、今日トルコに入ったばっかりなんですが、ガイドブック見せてもらってもいいですか?」

だそうだ。

Iさんという子で、長い事旅行してるらしい。

とりあえずあんまり時間がなかったんで、ツアーから戻ったらお話ししましょう、と約束して

出発した。

迎えのバスに乗ってツアーへ。

まずはローズバレー。

不思議な浸食のされ方をした谷の中を、ガイドのお姉さんに案内されて歩く。

ガイドさんはすらっとした美人で、話し方が涼やかで素敵。

いいツアーだ。

炎天下であぶられながら2キロほど歩き、谷を上る。

カッパドキアは近くに火山があり、そのために地層が明確に別れていて(火山灰等)、

それにくわえて寒暖差がやたら激しく、夏の強烈な暑さと冬の凍結で風化、浸食され、

今の異様な風景が出来上がったそうだ。

理屈で理解できてもこの景色はやはり不思議だ。

凄いなあ・・・

自然だけを見ても面白いのだが、そこに穴を開けて人が住んでいたというのがまた面白い。

岩山がくり抜かれて、その中に部屋が作られ、教会になってたりする。

不思議な場所だ。

信じがたい。

下り道は、岩が風化して出来た砂がくぼみにたまっていてよく滑り、何人かがツルツルと

転んでお尻を真っ白にしていた。

山育ちなんでそこら辺は慣れてるんで、僕は涼しい顔で下った。

道ばたにブドウやアプリコットがなっている。

野生のブドウというのは初めて見た。

アプリコットを一つかじってみたが、甘みが濃縮していてうまい。

谷を下りきった辺りで馬車タクシーが停まっていた。

体力はまだまだ残ってるので歩いたが、その後ときどき、道に馬糞が転がってるのを

見かけた。

日差しが強いので、数日かそこらで乾燥しきって粉々にばらけるようだ。

ちょっと面白い。

谷を出たら民家があり、そこで水を買い足したりしながら休憩。

昔、たくさんの人が住んでいたけど大崩落があって放棄されたという岩山があった。

薄っぺらい、池袋駅の駅ビルみたいに横に広い岩山で、沢山の部屋が掘られた後がある。

崩れた際にいくつかの部屋が反対側に貫通してしまい、青空が透けて見えた。

ちょっと上って見に行ってきたが、よくこんなのに住んでいたものだ。

感心した。

鳩の小屋のある谷で土産物を買い、ランチへ。

Yさんと韓国人のお兄さん達と食べた。

お兄さんのうち一人は日本語を勉強していて、けっこうきちんと話すので感心してしまう。

ランチはブッフェ形式で、好きな食べ物を取って食べるのだがかなりうまい。

肉も野菜も米もうまい。

スパイスが効いているが強すぎず、日本人の口によく合う味だ。

ただ、デザートは・・・

何ですかこの地獄のような甘さは。

パン生地にシロップを染み込ませたお菓子があったが、シロップが薄めたハチミツに砂糖を

混ぜたような凄まじい甘さだ。

脳みそが虫歯になりそう。

他のお菓子も試してみたが、「無理!」と叫びたくなるほど甘かった。

何でこうなるのか不思議。

午後は地下都市へ。

その昔、数千人が実際に住んだという、岩に掘ったありの巣のような都市だ。

地下だけあって、ひんやりして涼しい。

様々な部屋があり、あっという間に方向感覚を失う。

部屋は思いのほか広く、普通に背を伸ばして立てる。

でも通路はかなり狭い。

なんでも、戦争になったときに一人ずつしか攻め込めないようにして、部屋に入ってきたのを

一人ずつ殺すための工夫なのだそうだ。

その他通路を塞いでしまうための丸い岩なんてのもあった。

僕がここに攻め込む兵士だったら絶望的な気分だろうな。

相手は地下生活のエキスパートで慣れ具合では勝ち目が無いし、道に迷ったら出てこられそうにないし、

様々な工夫をされてるので生きて帰れる気がしない。

換気がよく考えられているようで、地下なのに空気がこもっていない。

上下に長く伸びた通気ダクトがあり、涼しい風が吹いていた。

炊事場もあり、こんな火を焚いても大丈夫だったとは驚きだ。

かなり探検気分を堪能して地上へ。

石細工の工房の見学に連れて行かれた。

旋盤にオニキスの塊を固定し回して、器用に削って最後に磨きをかけて、

オニキスの卵を作ってくれた。

うまいものだ。

でも欲しくはないんで、併設の土産物屋はちらっと眺めただけで表に出て、

日陰でぼんやりしていた。

韓国人の親子連れ三人と話した。

息子は大学生だがゲームで日本語を覚えたというゲーマーで、お父さんとお母さんは

大学教授だそうだ。

息子がゲームにはまってこまってるんです、というので、

「お母さんは息子さんを止めた方がいいですよ、じゃないと僕みたいな大人になっちゃいますよ」

と言ったら笑ってた。

その後バスに送ってもらい、ホテルへ。

チェックインを済まし、部屋へ。

シングルルームをもらったが、これがまた洞窟で壁が全部岩だ。

面白い。

とても涼しくて快適。

これは良い。

一休みして食堂に行ったらYさんとIさんがいて、しばらくお喋り。

Iさんにガイドブックを見せてあげた。

B5のノートPCを持ち歩いてるが、最近UMPCを持ち歩いてる旅行者が増えて

羨ましがってた。

あれは軽いし、そういう旅行には最適だろうな。

僕のiPod touchを見せてあげたら驚いてた。

「何ですかこれ!すごーい!」

最近見かけなかった新鮮な反応で嬉しい。

みんなでご飯に。

バス停の近くにあるレストランでけっこう安くチキンプレートがあった。

貧乏旅行を続けるIさんにビールをおごってあげた。

「ビール久しぶりです!」

と嬉しそうに飲むんで僕も嬉しい。

色々面白い話を聞いた。

どこかの国で変態タクシーに捕まった話とか。

とても面白い。

Yさんがなんか苦しそうにしてたので大丈夫かと聞いたら、くしゃみだった。

とても静かにくしゃみをするのでIさんと僕で感動し、Iさんが

「可愛いですね!」

と感心し、僕が

「僕らには無理ですよね!」

と言ったらIさんが、

「僕ら?」

すみません、僕だけです、はい。

なんかご機嫌でその後も僕の部屋の前に場所を移してビールを飲んで色々

話してしまった(Yさんは疲れが溜まってダウン)。

僕の知り合った不思議な世界の人たちの話はうけた。

Iさんが旅先で知り合った人たちの話も面白かった。

レズビアンじゃないんだけどそっち願望があり、友達になった女の子は全員

裸を見せてもらうという女性がいるそうだ。

何それ、僕もその人になりたいんですが。

Iさんは旅行中にダイビングのライセンスを取り、ダイビングショップで不法就労して

金を貯めながら旅し続け、1年半も放浪してるそうだ。

それもまた人生なんだよな。

そういう選択肢は僕にもあったし、今だってあるわけだ。

僕と同業者の元プログラマの旅行者もいるそうだが、彼らはプログラムに触ってない事で

腕が落ち、社会復帰できなくなるんじゃないかというのを不安に感じてるそうだ。

そうだよなあ。

僕、今頑張らなかったらいつ頑張ったらいいのかわからない状態でもあるし、

ちょっと1年とかは業界抜けられないよな。

そういう長期旅行者達は、選んだ人なんだといわれた。

取捨選択なんだよな。

ごもっとも。

楽しいなあ。

こんな楽しいお酒はなかなか飲めないよ。

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